不思議な偶然
ずっとともだちのことが頭から離れなくて、ぼんやりしている。
昔不思議な偶然があった。
平成4年3月3日水曜日、中学三年生の教え子が交通事故で亡くなった。
なぜ曜日まで覚えているかと言うと、その一週間前にその子から手紙をもらったからだ。
その頃私は仕事に行き詰まっていて、暗くて下を向いていることが多かった。その子は前の年、2年生で担任していたのだけれど、3年になってからは接点がなくなっていた。なのに、手紙をくれた。下を向いている私に気づいて励ましてくれ、感謝していると伝えてくれた。私が担任していた頃教えた言葉を私に贈ってくれた。
「人生はシリアスでハードワークだうそでもいいから笑って生きよう」
その子も私立高校の試験に落ちてがっくりしている時で、この言葉を励みにしていると書いていた。
それなのに、一週間後の水曜日の朝、交通事故に遭うなんて。
その頃、不思議なことがあった。いつもは帰らない道を通りたくて通ってみた。そうしたら葬儀でその道を通ることになった。
授業中、なんでもないのに急に涙が止まらなくなった。
その子に母親は、その子を生んですぐに亡くなった。墓石を見てみると、その時の私と同じ年齢だった。出身地も同じ船穂町だった。
縁があったのね。その子がなくなって、死ぬことに比べたら、仕事でうまくいかないことなんて、どうでもよくなった。その子が命をもって教えてくれた。生きてるだけでまるもうけ。
私は今日も生きていく。