七夕に寄せて
岡山桃太郎空港にあった雛人形。七夕仕様になっている。
解説の言葉もわかりやすい。明日は七夕だ。ANAとJALもそれぞれに飾り付けている。なんか、いいね。
クラス担任をしていた頃は、自宅の裏山で竹をとって、クラスの子どもたちに短冊を配って願いごとを書かせたりしたものだ。中学三年生の多くは
「志望校に受かりますように」「頭が良くなりますように」と書く。心の中にいつも引っかかっているのだろう。切実だ。
「世界制覇」なんて書く子もたいていいる。
クラスメートが見るわけだからあまりに個人的すぎることや生々しいことは書けない。でも、何を書いていてもその人となりは伝わる。カッコつけたかったり、本心を出せなかったり、根っからの良い子だったり。
私が書いていたのは「アンジェリーナ・ジョリーみたいになれますように」だ。時代によってレディ・ガガになることもある。つまんない女だ。
今だったらなにを書くだろう。
父が元気になりますように。母の身体が楽になりますように。
彼女に伝わりますように。
彼女がこの世から突然消えて12日目。もう毎朝泣くことはなくなったし、友人と話をして笑うこともある。彼女のいない世界にも少しずつ慣れている。
でも、あまりに唐突に消えてしまったからまだ整理できない。なぜ闘病中にもっと元気づけられなかったのか。もっと大切な話はできなかったのか。
ちゃんとありがとうを伝えたかった。あなたは本当に偉いよって、何度も何度も言いたかった。何年も親の介護をして、そのために仕事も辞めて、旅行もしないで。いつも明るくって優しくって。また会えると思っていたから、きちんと伝えられなかった。
夏の花は色鮮やかできれいですね。今年は七夕の空に向かって祈ります。ありがとうありがとうトシちゃん。あたしはもうちょっとましな人間になるよう生きていきます。